ブレイクスルー社会学
われわれの「社会」の学問、社会学は、身近にも感じるが、実は広くて深いもの。効率よくまとまったゼミネット公務員講座の社会学を、ちょっと読み込んでみるWEB版特別講義です。第8回は「こつこつ深めるマートンの理論・分析」!
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第8回 こつこつ深めるマートンの理論・分析

1 準拠集団
中範囲の理論:マートンはパーソンズと違って、社会学は一般理論を作れるほど発達していないと考えた。そこで個別の調査によって得られたデータを説明するための作業仮説と一般理論との間をつなぐような中範囲の理論をつくるべきだとした。

準拠集団:わたしたちの自己評価や行動の選択は他者を基準としている。例えば、テストの成績で考えてみよう。太郎君はテストの成績が70点で大変不満であった。花子さんは60点で大変満足だった。なぜか。太郎君のクラスの平均点は80点で、花子さんのクラスの平均点は50点だったからである。つまり、テストの成績について満足か不満足かは、自分の点数ではなく比較する集団の平均点によって決まっていたのだ。この比較対象となる集団を準拠集団といい、このときの太郎君の不満を相対的不満という。

【ここがポイント!】
また、準拠集団は必ずしも自分の所属集団でなくてもよい。就職活動中の大学生が急に大人っぽくなったりするのは、これから自分がなろうとする社会人に自分を合わせようとするからである。これを予期的社会化という。テストの例に見られるのが比較的準拠集団、就職活動の大学生の例に見られるのが規範的準拠集団である。

イラスト

2 機能分析
機能分析:マートンの準拠集団論やアノミー論(第5章で詳しく述べる)は、彼の機能分析という方法に基づいている。マートンの機能分析とパーソンズの構造=機能分析との違いは、マートンがシステム維持に役立つ機能(順機能)だけでなく、システム維持にとって有害な機能(逆機能)までも考えた点である。また、行為の結果が行為者に意図あるいは予想されるものを顕在的機能、予想外の結果をもたらすものを潜在的機能として区別した。

【ここがポイント!】
例えば、干ばつのときの雨乞いの儀式は、実際に雨を降らすという顕在的順機能を果たすことはないが、集団の結束を強めるという当事者の意図しなかった良い働き、すなわち潜在的順機能を果たす。逆によかれと思ってしたことがかえって逆効果になるような場合(ダイエットしたらリバウンドで太った!)が潜在的逆機能である。


ゼミネット公務員講座で、わかりやすく解説しています。
次回は
「経済だけじゃない、ミクロ社会学って?」です。ご期待ください。

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