ブレイクスルー社会学
 われわれの「社会」の学問、社会学は、身近にも感じるが、実は広くて深いもの。効率よくまとまったゼミネット公務員講座の社会学を、ちょっと読み込んでみるWEB版特別講義です。第6回は「真打登場!機能主義だぜ、パーソンズ」!
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第6回 真打登場!機能主義だぜ、パーソンズ

1 機能主義人類学
シカゴ学派の後、1960年代末までアメリカ社会学で影響力をもったのはパーソンズをはじめとする機能主義理論であった。機能主義はデュルケムの社会有機体説や、マリノフスキーやラドクリフ=ブラウンの機能主義人類学から影響を受けている。
機能主義人類学の代表格がマリノフスキーラドクリフ=ブラウンである。機能主義人類学は、それまでの進化論的な人類学のように様々な文化を部分的に比較するのではなく、制度や慣習がその文化全体の中でどのような働きをしているか(機能)に注目する。

【ここがポイント!】
★例えば、マリノフスキーが『西太平洋の遠洋航海者』で報告した、トロブリアンド諸島のクラと呼ばれる象徴的交換の慣習は、実用的な価値のない首飾りや腕輪の交換のように見えて、実は島と島の間の関係や交易を維持するという実際的な機能も果たしていた。
★彼らはまた、自ら現地調査をして理論を作るという点でも新しいタイプの人類学者だった。しかし、マリノフスキーが社会制度や慣習を個人の欲求充足という機能から捉えるのに対して、ラドクリフ=ブラウンはむしろ制度や慣習は社会全体の構造を統合し維持する機能をもつと考える点で対立していた。ラドクリフ=ブラウンの立場をマリノフスキーと区別して構造=機能主義と呼ぶこともある。

2 パーソンズ・・・主意主義的行為理論
主意主義的行為理論:パーソンズは、個人の行為を解明するウェーバーの理論と、個人の外部にある社会的な集合意識を研究するデュルケムの理論を組み合わせることによって、個人がそれぞれ自分の利害関心で行動しているのに、なぜ社会は万人の闘争にならないのかという問題(ホッブズの秩序問題)を説明しようとした。その理論は個人の主体的な意志に注目するので主意主義と呼ばれる。
【ここがポイント!】
パーソンズは個人の主体的な意志は実は身勝手な打算ではなく、内面化された社会の規範に決定されているのだと考えた。つまり、わたしたちが自分で決めたと思っている行動も、小さいときから教えこまれた社会のルールに従っているのにすぎず、それによって社会の秩序が保たれているのである。行為者は目的のために、与えられた条件のもとで規範に従って可能な手段を選択し行為する、というのがここでの基本的な考え方である。


イラスト

3 パーソンズ・・・行為の一般理論
行為の一般理論:その後、パーソンズは行為を個人の意志だけではなく、それをとりまく状況との関係で捉えて(行為者−状況図式)、行為の一般理論を作ろうとした。パーソンズによれば、行為は個人(パーソナリティ・システム)、さらに行為者同士の関係(社会システム)、そして個人や社会が従うやり方(文化システム)から成る。これが行為システムである。(注・システム=体系)
【ここがポイント!】
このような行為システムに基づいて人々は行為するので、これを行為の準拠枠という。しかし、人によって目的や好みは異なるので、行為の選択の仕方(パターン変数)も人それぞれである。とすると、2人以上の人が相互行為するとき、自分がどう行為するかは、相手の出方しだいで色々変えなければならない。そして相手も自分の出方しだいで行為を選ぶはずだ。このように、お互いに相手の出方しだいであることをダブル・コンティンジェンシー(二重の依存性)という。それでも、わたしたちが疑心暗鬼にならずに人と付き合えるのは、相手がどういう行為をするかという予想がたつからだ。これを役割期待というのだが、それが可能なのは先に述べたような行為の準拠枠が人々に共有されているからなのだ。


ゼミネット公務員講座で、わかりやすく解説しています。
次回は
「さらにじっくりパーソンズ!キーワードはAGIL」です。ご期待ください。

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